曲奏し終る)……。
三好 何か用? まあ、あがりたまい。
轟 ええ、ありがとう。チョット相談をしたい事がありましてね。いやあ、もう、僕あ、いよいよ以て駄目ですよ。(まだ庭に立ったまま、登美を見ている)
三好 まあ、あがれよ。
登美 一、二、三、四、……三好さん、オルゴールもう一度鳴らして! 五、六、七、八。……一、二、三、四、……(つづける。韮山は、まだ立って見ている。三好が、再びオルゴールを鳴らす)
2 昼
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三好と轟と登美が、簡単な昼食をすましたばかりの所。三好と轟は机を中に坐って茶を呑んだり煙草を吸ったり、登美は机の上の食器類を片附けている。
相変らず薄曇りの空。
[#ここで字下げ終わり]
轟 ……御馳走さん。
登美 どう致しまして。……(三好に)応接の方は、うっちゃっといていいかしら?
三好 どうして?
登美 だって、おなかがすくでしょう?
三好 あ、そうか。でも腹がすけば、なんとか言うだろう。
轟 あれ、なに? たしか此の前も見かけたなあ。
登美 アイスクリーム。(食器を抱えて奥へ出て行く)
轟 え……? (登美を眼で追う)
三好
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