すから。
堀井 例の神様か? 袖も、いいかげんにした方がいいぜ。インチキ宗教であろうとなんであろうと、信仰すると言うのは悪い事じゃ無いが、縁談から金談、堀井家の再興まで受合う神様なんて、話がうますぎる。
お袖 馬鹿になさいまし。今に先生も思い当られる事が出来て来ます。
堀井 ハハ、思い当るか。いやさ、お前が退屈ざましに、神様を見に行くと言うんだったら、話あ別だ。大変な色男だそうだな?
お袖 (怒っている)……ば、罰が当りますから! そんな事おっしゃっていると――。
堀井 怒るなよ。僕あただ、お前が飛んだ延命院に引っかかりゃ[#「引っかかりゃ」は底本では「引っかかりや」]しないかって心配してるだけだよ。そんなことでグズグズしているよか、横須賀の伯父さんの言う通りに、その船の人の縁談を受けたらいいじゃないか。子供が一人や二人あったって、構わんじゃないか。船員と言うものは、船から降りると恐ろしく情が深くって、オツだと言うぜ。
お袖 たんと、おっしゃいまし!
堀井 いやさ、そうしてシャンとしているお前ほどのものを、もったい無いと言うのさ。
お袖 ホントに、先生は、――(怒って居りきれず、笑い出
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