みじめな事あ無いさ。みじめであっても無くっても同じ事さ。面白いじゃないか[#「面白いじゃないか」は底本では「面白いぢゃないか」]。みんな追っかけられてる。堀井さんは韮山に、韮山は本田に、本田は銀行に。そいで、それぞれ又別の奴を追っかけてる。佐田も、そいから君も、そいから俺も……ええと、俺もかな? いや、俺が一番ドンヅマリの終点かな。とにかく、なんにも持ってない俺が一番楽なようだ。フフフ、枝ぶりの良い樹は無いか? 少し俺もぶらさがりたくなった。
登美 (泣き声を上げて)三好さんの馬鹿! 三好さんの馬鹿! 三好さんの馬鹿!
三好 ハハ、馬鹿でもいい。馬鹿でいい。馬鹿は、死ななきゃ、治らない――と。馬鹿でいいんだ。……ありがたい!(深く頭を下げ、何かに向って二度も三度もお辞儀をする)ああ! 日々、好日! ありがたい。良い天気だ。……(いつの間にか、頬に涙がタラタラと流れ、光っている)
登美 なさけ無い! みじめだわ! なさけ無いわあ!
三好 なさけ無い事あ無い! ハハハ、なにを泣く?
登美 馬鹿よ!
三好 俺が馬鹿なら、君も阿呆だろ。いいさ。昔、仏《ほとけ》、霊鷲山《りょうしうざん》[#ル
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