だけ手広く事業をなさっている弁理士の本田一平さんともあろうもんが、そればっかりの金でそんなに――。
本田 そいつは御同様でしょう。私の方も、去年以来、場《ば》の方でサンザンなんだ。あっちこっちで、振出した手形の期限が次から次と追って来ている。これが落とせないとなると、なんしろ相手は銀行だから、イナヤは無い――。
韮山 わかっています。それは百も承知している。出来ることなら、わしも何とかしたい。したいけど、何度も言う通り、無い袖は振れまへん。千や二千の金、わての所に無いと言うと、信用でけんかも知れんが、正真正銘、おはずかしながら[#「おはずかしながら」は底本では「おはづかしながら」]、ホンマの話が、此の半月ばかり、五百とまとまった物が無いのです。しゃあから、ここの博士が返して呉れたら、あんたの方も何とかするつもりで、実はこないだ中から血まなこになって夜もロクロク寝とらん言うのが、ホンマにイツワリの無いとこだす。
本田 イツワリの無いとこか何か知らんが、そちらにそれだけの誠意さえ有れば、白山や大塚に出している待合あたりからでも、それ位の金のひねり出せん法は無いでしょう。
韮山 (ベソを掻い
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