それがいつの事だか、わからんから、それじゃ、証書を書き換えろと言っているんだ。それが、いやなら、君の方の、この家に対する債権を僕が肩代りをしてこの家の処分は私の方でしようじゃないかと言っても、ウンと言わん。あれも、これも、いやだいやだで、それで、私の方の立つ瀬が有ると思うのか!(落ちている手カバンを拾い、草履を穿く)
韮山 そないな事言うたとて、あんたの方から、わしが借りている金はスッカリで八百円ですぜ。わしの此の家に対する債権は八千円にチョット足りない位じゃ。それを、いくらなんでも、肩代りすると言うても、ケタが違い過ぎる。法外も無い――。
本田 しかし、あんたの八千円と言うのも、いづれ、利に利が積んで十倍にも二十倍にもなった金でしょうが? いづれ最初は五百円か六百円だろう。ところが、私があんたに融通した金は、現金で五百円ですよ。それを忘れて呉れちゃ困る。(三好はヤット事情がのみこめて、あきれてしまい、引きさがって、庭石の上に腰をかけて二人を見ている。登美も、ニヤニヤしながら縁側から見物している)
韮山 忘れやしませんがな。しかし、もう少し待ってくれとわてがこれ程言うているのに、あん
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