わったことを――(ビールびんから[#「ビールびんから」は底本では「ピールびんから」]ビールが出てこない)ええと――
三芳 は、もうけっこうです。(また頭をさげる)もうたくさんです。(コップを見ると、からなので、キョロキョロそのへんを見る。そのいちぶしじゅうを見ていたツヤ子が吹きだしそうになる口を両手でふたをする)
大野 そうそう、もうみんなになっていた。どうもこりゃ失礼――。おいおいツヤ君、ビール。四五本いっぺんに。
ツヤ (笑いを引っこめて……)はい。(扉から出ていく)
薄田 ……(そのツヤ子の後姿を見送っている)
大野 (三芳に)ところで、君んとこのトンコなあ。愛が来たというのはホントかね?
三芳 (眼をショボショボさせて)はあ……だろうと思うんですけど。
大野 シロウトはこれで、見あやまることが、よくあるからねえ。
三芳 でも、近所のなにがゾロゾロ、その、附けまわして――当人もその、やっぱし、始終イライラしまして、なんですか――
大野 それじゃ、まちがいないかな。
薄田 どこの娘さんの話だえ?
大野 やあ、三芳君とこの――
薄田 そうかねえ、まだそれほどの年にゃ見えないが、そんな
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