に良い娘さんがあるのかね。
大野 いやいや、せんに私んとこにいたのを、三芳君にゆずってやったんですよ。
薄田 はあん?
三芳 私の所でも、家内をはじめ、この、非常に好きなもんですから。
大野 こうしてここも、家の者たちを疎開させて、私とツヤだけだと二匹の世話ぁ焼けませんしね。メスは特に手がかかるんで。
薄田 なんだ犬の話かい!
大野 いやあ、血統が大事でしてね(と椅子の上のくめ八の頭を愛撫しながら)これと三芳君とこに行ってるトンコなど、まずテリヤでは東京で二ツガイ三ツガイという純血でしてな。ハハ。妙なもんで。血液を純粋に保つという点からいうと、理論的には、メスに変な雑種のオスをかけないようにさえ気をつけておれば良いわけだがそれがそういかない。オスが、あいだに雑種のメスにかかっていると、あとどうしてもうまくいかない。相手の女しだいで、オスの精虫や、このホルモンといったようなものが、影響を受けるもんですかねえ。おもしろいもんですよ。ハハハ、(くめ八に)くめ、お前、もうすぐお嫁さんに逢えるからな、それまでここいらで変な女を相手に浮気をするんじゃないぞ。
薄田 君の犬好きも、実にあきれたもんだ
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