大野 やあ、ハハ(三芳に)トンコには、ズッとミルクは飲ましてあるね?
三芳 ええ。しかし、この、近頃、戦争がこんなふうになってきて、ミルクを手に入れるのも不自由になりまして――
大野 まあ、いいさ。じゃ、今日、バスケットに入れてこいつをつれて行ってくれたまい。カケるのは私が明日行ってカケるからね、それまで別々の箱に入れとくように。いいかね?
三芳 はあ、そりゃ承知しましたが、その、これなんですが(と、しょげきって、まだ手に持っている原稿を示す)明日の謝恩会に、これでよければ、一同を代表してこれを読んで、その――
大野 いいだろう。――(とアッサリ言って)途中ねえ、電車だと揺れて病気になるからね、すまんが、君んとこまで歩いてかかえて行ってくれんか。
三芳 (ほとんど泣きべそをかいたような顔)はあ。
薄田 さ、わしもソロソロ失礼しようか。じゃ大野君、よろしく頼むから。こっちへ引越して来るのは、明後日ごろになるだろうが、それまでに部下の者がトラックで荷物を運んでくるじゃろうから。
大野 承知しました。で、こちらの疎開荷物の運搬のこと、よろしく願います。こないだから、こうしてチャンとコンポ
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