ウをすましてあるのに、司法省あたりのサシガネでは、もう、なかなかラチがあきませんからねえ。あなたの荷物をはこんで来たトラックで、ついでに駅まではこんでもらえるとありがたいですがねえ。
薄田 なに、そんなにあわてんでも、どうせ隊の荷物としてはこんでやる。
大野 そうですか、そうしていただければ、何よりです。ハハ。しかしなんですねえ、あなたも、急にこちらに転出して来られて、こうして、まあ、きたない所ですが、私の内を御用立てすることができて、まずまあ、お寝みになる所だけはきまったとしても、御不自由なことですねえ。奥さんも田舎でおさびしい。
薄田 なに、ヌカミソくさい古女房などいない方が、うるさくなくてよい。家事はいっさい部下がやるんじゃから。
大野 いや、家事は[#「家事は」は底本では「実事は」]とにかくとしてですよ。おさびしいじゃありませんか。つまり、なんだ、陣中にじゃっかん、この、春色を欠くといった――
薄田 そいつは、夫子自身の告白かね?
大野 アッハハ、やられたねえ!
薄田 至る所[#「至る所」は底本では「到る所」]、青山有り。
大野 ああさようで! ヘヘ。(タイコモチと同じ口調で言
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