せん。
久子 いいんですのよ。ホホホ。(歯をむいて笑う)
トンコ ワンワン!
三芳 じゃ津村君、どうぞ、食堂の方で。それともここへ持ってこさせようか?
津村 いや、向うへ行こう。(立つ)
久子 御飯が少したりないかも知れませんけど――そのかわり今夜はウンと、あの、御馳走しますから――(三芳に)ツヤ子さんねえ、どうしても米を出してくんないのよ。ほら、こないだ福島の親戚へ買い出しに行ったでしょう、あれを、しっかり抱えこんで、毎日自分の分だけ三合ずつ出すだけで、いくらなんと頼んでも貸してくんないの。
三芳 ……だって内のが有るだろう?
久子 内のがって、だってあんた、もう二十日からの、遅配なんですよ。そんな――
三芳 だからさ、先月買いこんだぶんが有るだろう、例のそら――
久子 じょうだん言っちゃこまりますよ、二斗やそこいらの米がいつまで有ると思ってんのよう!
津村 そうか……そいじゃ――(奥へ行けず扉の所に立っている)……じゃ僕は食わなくても、なんだから――
久子 いいんですのよ、いいんですのよ! いえ、いいんですのよ! どうぞ、あの、後はどうにでもなりますから、そんな御遠慮なんかなすっち
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