けを見ても、軍や財閥や一部の官僚が、くすねこんだり、横へ流したり、イントクしたりした物資だけでも、いかにバクダイなものであるか、それをあんたがたに聞かせたら、およそキモをつぶすだろう!
三芳 そんなに多いかなあ?
大野 多いのなんのって、君! だって、とにかく、焦土戦術というので、国内の物資はあらいざらい、その方へ吸いあげてしまったんだからねえ。とにかく、あと五六年は戦争をつづけて行くにたるだけの物が有ったんだから。どうです、津村さん、なんでしたら、こいつを、あなたの方に提供しようじゃありませんか?
津村 うん、そりゃ、なんだけど――ぼくらの方でどうするというわけにも行かんだろう。
大野 やりかたは、いくらでも有ると思うんだ。せっかく、あなた、あれだけの物が有るのに、だな、そいつをムザムザ――
三芳 だけど、あんたあ、どんなわけで、そんなことをわれわれの方になにしようとするか――その理由がだなあ。(この男の大野にたいする言葉の調子は、ていねいになったりゾンザイになったりする。大野の三芳にたいする言葉も同様)
大野 それは、君、さっきから、これだけ言う通りに――つまり――いや、心外だなあ
前へ
次へ
全65ページ中34ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング