つて、ちつとべ調製して、おつかと俺で今朝ついた。
りき そうかや。そいつは、かたじけねえ。お茶と餅がいつぺんに湧いて来やがつた。あつらえたみてえだ、はは、サダよ、さつそくだあ、茶を入れろ。
サダ (少し離れた土間の隅でガチヤガチヤ茶わんの音をさせながら)あい。
森山 すると、これが中込の松造さんとこの、へえい、こんな立派な総領がいたかなあ?
せん 総領だあねえ、二番目でやすよ。
森山 へ? そいつは二度びつくりだ。そうかね。いやどうも、うぬが年い拾つてることは気がつかねえで、若えしの大きくなるにや、たまげてばかりだ。はは!
せん ははは。
りき どうした、次郎は?
次郎 うん?
りき なんで、浮かねえツラあしてる?
次郎 ううん。
サダ (土間を歩いて来ながら笑いを含んで)つれ立つて来ながら次郎ちやんと新一ちやん、そこの坂の上で掴み合いの喧嘩やらかしそうにしてたよ。
せん へん、そりや又、なんでな?
次郎 俺、ばさまに相談に来たんだ。その事を新ちやんに話したら、俺のこと、馬鹿だつてんで――
新一 そうじやねえよ、俺の言うのは。
りき よしよし、んで、どんな事だ、言つて見ろ。
次郎 ……
前へ
次へ
全34ページ中9ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング