マイク急速にサダに近づいている)
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新一 今日あ、サダちやん!
サダ あい、おいでなんし。どうしたの、あんな所で二人で突つ立つて? (笑い声で)タキギ取りに出て来たら、上の方でなんやら喧嘩のような声するんでヒヨイと見たら――どうしたん?
新一 次郎があんまりわからねえ事言うもんだ。
次郎 わからねえのは新ちやんだねえかよ!
サダ ふふ、甲州の栃沢と中込の栃沢が久しぶり逢つて、たちまち喧嘩おつぱじめても、しようねえずら。さあ、家さ入ろうよ。やれ、どつこいしよと。(とタキギの束を抱えて庭場を斜めに歩き出す。二人の青年もそれに従う)ズーツと二人でともなつて来やしたの?
新一 ううん、俺あ野辺山でおりて、オサキの追分の地蔵さんとこまで来て休んでたら、次郎がヒヨツクり。
サダ そうかや。
次郎 ばさま、いるの?
サダ うん、いる。今、お客だ。海の口の喜十さんつう人と、農事指導員の森山さんと、それを案内して川上のおせん伯母さん来てる。
新一 じさまは?
サダ 半月ばつか川上の家だ。ここんとこ、だから、おらとばさま二人つきりだ。
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