そうよ、うぬが尻の赤いのを忘れて人の尻を笑う猿だ!
新一 野郎、言つたな!
次郎 言つたがどうした?

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(……二人が睨み合つて立ちはだかつている崖道へ、下方の谷の方から若い女の声が、呼びかける)
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サダ よおーい! そこに来たのは新ちやんに次郎ちやんじやねえかよう! (二人そちらを見るが、又睨み合つて、返事をしない)…… そんな所に突つ立つて、なによしてるだあ? 早う、おりてこう!
新一 ちきしようめ、なまいきな――(と口の中で言つてから、下へ向つて呼ぶ)おおい、サダちやんよう!

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(ザザザと足音をさせて坂道を走りおりて行く)
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次郎 へつ! (下へ向つて)サダちやあん!

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(これもダダダと走りおりて行く)
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サダ あらあら! そんな走ると、ころげ落ちるよう!

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(言葉のうちに
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