出して見ろ、新ちやんは戦争中、まだ年も足りねえのに少年航空兵に志願するんだと言つて、じようぶあばれたというじやねえか。ずら?
新一 あれは、あん時は、あんな事は俺がまちがつていたんだ。
次郎 まちがつちやいねえよ! 戦争はまちがつていたかも知れねえが、国のために働こうとした新ちやんの気持はまちがつていやあしねかつたと俺あ思う。
新一 まちがつていたと言つたら! まちがつていたんだ!
次郎 仮にまちがつていたとしても、そいつは、あとから、今こうなつたから言えることだよ! ウヌがその場に立つて見ればその時の考えでやつて行くよりしようが無え。警察予備隊にしたつて――
新一 ウソこけ! 次郎は家にいても先きの見こみが無えから予備隊に入ろうと思つているだねえか! 
次郎 そうさ、それもある。それもあるけど、お前が戦争中少年航空兵になろうと思つたと同じ気持もあんだ! 同じ働らくなら国のために、この――
新一 国のために、なんでなるんだ? そつたら考え自体が反動だ!
次郎 それ見ろ、自分が以前した事は棚の上にのせといて人のことをやつける! おおよ、俺が反動なら、お前は猿だ!
新一 さ、猿だと!
次郎
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