。
森山 すまんなあ、お初穂の御しようばんになるなんぞ。
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(一同、茶をすゝり餅を食う気配)
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りき ……そんで、なにかや、次郎の相談つうのは何だつけよ?
次郎 あとで言わ。
りき もうかまわねえ、言つて見ろ。
次郎 ……おれ、家にいてもしよう無えから、東京に出ようと思つてよ、そんで――
新一 俺が反対したんだそいつに。いや、ただ東京へ出るならいいけど――
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(そこへ、いきなり、犬がほえるような声で、はじめはどうしても泣いているなどとは聞えない声で、喜十が手離しで泣き出す)
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喜十 おう、おう、おう! うわあ!
サダ あれ、どうしやした、喜十のおじさん?
せん 喜十さんよ! どうしただ?
喜十 おう、おう、おう!
りき どうしたよう、出しぬけに、こうれ!
森山 喜十さん、どうしやした?
喜十 うう、俺あ、へえ、どんな悪いことばしやした? うう、だのに、俺のこと、俺んちのこと、村中でお前、どこさ行つ
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