とこをですよ、一度ばさまに話して、全体どうしたらいいか、ようく相談して――まずそう思つて喜十さんも私も、こうしてやつて来たようなわけで――
りき さあて、そりや、無理だあ。おらに何がわかりやす? 相談にやならねえなあ、(シヨンボリした一人語り)うまく行かねえもんだなあ世の中つうもんも。……喜十なんどの、正直いつぺんのシが、うまく行かねえとなると、これ、なんとすればええだかなあ――

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(一座シンミリとしてしまつて、誰も語り出す者なし)
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サダ ……あい、お茶がへえりやした。
りき おい。……、森山さんもどうぞ。喜十も飲め。
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(サダが茶わんをくばる音)
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せん あい、中込の餅でやす。(箸にはさんで出す)
りき なんだ、へえ、こりやアンがついてら。
サダ 喜十のおじさん、手を出してくんなんし。
喜十 へい。
りき (食いながら)こら、うまい、よくつけた。さあさ、森山さんも。新一も次郎も食いな。
新一 うん
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