ドタドしい、すこし辻つまの合わぬような調子で)死ぬよりつらいんでやす、ばさま。そんで、このまゝで行きや、じようぶ、死ぬのは、わかりきつているんじやから。
りき 死ぬと? おのしがか?
喜十 俺なら、まだえゝよ。タンボだ。
りき ハツキリ言え。タンボが死ぬと?
喜十 そんだ。水口、一寸二寸とへずられてよ、水が切れりやタンボは死ぬだねえかよ。
りき 水口をへずるのか?……そんで、それを、金五郎がへずるのか?
喜十 現場あ見たこと無え。けんど、俺が築いときや、夜のうちに、又あ、鍬でもつて、へずりやがら。又築くと、又へずる。この夏中で十五六度もだ。ふんづらまえてやろうと思つて、アゼのかげに、寝て待つていた事もあるが、そういう晩は来やがらねえ。餓鬼い使つて探偵しているだから、俺が待つてるの、わからあ。そんなに俺んちが憎ければ、なんで、へえ、おおつぴらに俺とこさやつて来て、この頭あ、ゲンノウでもつて叩き割らねえ? その方が、よつぽどマシだあ。
せん ほんになあ! タンボの虫と言われた喜十さんだからなあ、そう思うのも無理あねえよ!
りき 阿呆ぬかせ、頭あ叩き割れば、それこそ、おつ死ぬべし!
喜十 阿
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