じった眼で友吉を睨んでいる)
友吉 ……(スッと[#「スッと」は底本では「スツと」]壁から額をはなして、青ざめたしかし落着いた顔で、そのへんを見、左腕を男3につかませたまま、右手を男4の肩にかけて、ユックリと歌う)しずむばかりの、この身をまもり……(ガクーンと地ひびきを打たして、間近かな第五弾。同時に男2が、鉄棒から鉄棒をつたわって、天井に近い所を、クモがあばれるように、はねまわりはじめる)あめのみなもとに、みちびきたまえ。……(その歌声を寸断して、鳴りはためく投弾と高射砲発射のとどろき)
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座談会の会場。
会場といっても、ふだんは事務室に使っているガランとした室の、突き当りの壁の前の四五尺の部分だけ。壁に黒板。黒板の前にハバのせまい荒板を打ちつけた細長いテーブルにイス。それは演壇というわけではなく、話す人も聞く人も同じ高さに腰かけるようにならべられたテーブルとイスの円陣の一角である。だから座談会の出席者は客席の前部正面に凹字形にならんでいて、話す人だけが一人でフットライトの真上にイスにかけテーブルをへだてて正面に向いている。黒板の上部
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