、プツンと切れる)
[#ここで字下げ終わり]
男1 ゲエ!(はく。しかし、なんにも出て来ない)
男3 エスさま! おい、エスさま! おい!(友吉のブラブラな左腕を取り、すがりつくように身をすりよせて来る)
男4 サ、サ、サンビ歌、うたってください。エスさま、ね、サ、サンビ歌……神さまに、あの祈り……サンビ歌を……ね、ねエスさま!
男2 こ、こんだ、来るぞ! このへんだぞッ!(鉄棒に四足でかじりついて歯をむいている)
男3 ねえ、エスさま! おい! ウーウーウー(うなり声が、サンビ歌に似た節になる)
男4 ね、エスさま! おい! 歌って――
友吉 ……(額を壁につけたまま、低い声で、男のうなり声の中に歌い出している。はじめ聞きとれないが、次第にメロディがハッキリし、又次第に歌詞がハッキリする。第四百四十五)……わがたましいを、愛するエスよ。波はさかまき、風吹きあれて――(男3は、それに合せて、うなっている。男4は、歌詞も節も知らないままに、唇をふるわせながら、つけて歌う)
男2 う、う、うるせえやいッ!
男1 ……(口のハタに付いている白いアワをそのままにして、毒々しい位の憎悪と恐怖のま
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