(そこへ、ダダダと足音がして、廊下をこちらへ走って来る監守。制服にゲートルに鉄帽)
[#ここで字下げ終わり]
監守 (いきなり)おいエスさま! なにを、こんな所でグズグズしてるんだッ! 早くお前――
友吉 (ビックリして)はい、あの、どうか入れてください。掃除すみましたから――
監守 え?(檻房をチラッと見て)いや、お前はなんだ、待避壕の方へ来てもいいよ。ここは、あぶないから――
友吉 いいんです、ぼくは此処で、あの――
監守 え?(一瞬マジマジと友吉を見つめていてから)……そうか? 知らんよ、しかし、ドカーンと来ても。(いいながら、カギで檻房の小さい扉を開ける。友吉は身をかがめて房の中に入る)……来りゃいいになあ、待避壕の方へ――
友吉 ありがとう――(その言葉が終らない間に、男1が無言で、監守が締めかけた扉にかじりついて外に出ようとする。つづいて男2がヒッ[#「ヒッ」は底本では「ヒツ」]! と叫んで同じく外に出ようと男1をはねのけて、扉にかじりつく)
監守 とッ! バカッ! お前たちは此処でたくさんだッ!(ピンとかぎをかけてしまい)これでも、此処は地下室だからな、フフ。ち! な
前へ 次へ
全180ページ中97ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング