げ出す仕度をしてるよ。ヘヘヘ。
男3 おいおい君! そんなへんなふうないい方はよしたらどうだね? 君あ、ファッショだろ? 右翼だろ? 忠君愛国だろ? つまり、カンバンだけでもよ。そんだら、イクサがこんなふうになって、わが国が困りきってるのに、そんなセセラ笑っている手はねえじゃねえか! とにかく、てめえの国だぞ! そうじゃねえか、日本人を、こんだけサンザン殺しやがって、ちきしょう!
男2 や、国士に対し、脱帽!
男3 なにい?
男4 その原子バクダンというやつは、どういうもんですかねえ? よっぽど、モーレツな、この――?
男1 日本でも、出来ているというけどね、マッチ箱ぐらいのやつ一つあれば、ロンドンの全市をあとかたもなく吹き飛ばせるというんだから――
男4 ……使いますかね、そいつを?
男1 さあ。……使うかもしれんね。
男2 とにかく、もう向うでは一トン・バクダンは使ってるらしいね。こいつにやられると地下三四十尺の防空壕なども役に立たんそうだ。
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(かなり間近かな所で、けたたましい空襲のサイレン。二度三度とつづけざまに鳴る。四人ともだまってしまう。……奥の上の
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