来る。)
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(間……)
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男3 ……(低い声でまたはじめる)ヘッ? こらえてくれよ、飯をとりあげられて、たまるもんけえ、ゴクソツめ! ……(他の三人は、尚しばらく沈黙)
男4 ……だけど、なんですかねえ、この――これから、ぜんたい、どうなるんですかねえ?
男3 なにがね?
男4 サイパンは落ちる、オキナワも、もうダメらしいじゃないですかね? 四国や千葉あたりじゃ、海岸一帯に立ち退きがはじまっているというんだから。
男3 だから、本土作戦だよ。焦土戦術。
男4 それがですよ、どこがどんなふうになれば、どういうことになるんだろう? つまり勝つとか負けるとかいうメドがいつになったらだねえ――
男3 バクチだあ。丁と出るか半と出るか、やっつけるまでだよ。
男2 負けるね。
男4 え、負ける? こっちがですか?
男2 ああ。つもっても見ろよ、向うでは、原子力のバクダンかなんかを、ロケットで持って来ようとかしてるのに、こっちじゃ、紙で風船をこさえて、飛ばすんだそうだ。笑い話にもならん。ヘヘ、もう、なんだね、金や物をウンと持った連中は、山ん中やなんかへ逃
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