にはさんだ。エスさまあ、しきりと、泣いていたっけ。
男4 そんでもウンといわねえのかね。
男1 ……気がヘンなんだろう?
男3 えれえと思うよ。
男4 あんな、まるで、オナゴみたいなおとなしい奴がねえ?
男2 ……ひでえもんだなあ。なにかね、信じこんだとなると、そんなになるもんかねえ?
男4 うう、暑い。
男2 え? 広い日本にヤソも多いだろうし――いや日本たあ限らねえ――アメリカだとか、西洋はたいがいみんなヤソでしょう? だのに、そんな話あ聞かねえし、そんな人間も現われねえのは、どういうんだね?
男1 直接ヤソ教に関係の有ることじゃないだろう。やっぱり、偏執狂というか――
男4 ああ。ああ。たまらねえ。……
男3 ちがう。俺あ、あの大将は、えらいと思う。つまり信念というかな、自分がこう思ったら、たった一人でもだ、ああしてがんばっているのは、よくよくの事だよ。なんかこう、神さまとか仏さまとか――つまり、そんなもんに近いような、おっそろしくえらい、この――
男1 フ……(声を出さないで嘲笑)
男3 なによ笑うんだ君あ?
男1 だって、精神病が、えらいとなったら君――
男3 精神病じゃねえ
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