よあの人は。だって[#「だって」は底本では「だつて」]どこもまちがってやしねえじゃねえか。よしんば気がちがっていたにしろだ、えらそうなエンテリづらをして、赤だいこんの腐ったようなマネをするよりや立派じゃねえか!
男1 なんだって、赤ダイコンだ?
男3 ……フ。お前さん、アカなんだろ? そいで、ペチャペチャにあやまっちゃって、タバコなぞを当てがってもらってシュキを[#「シュキを」は底本では「シユキを」]書いてるそうだね? この戦争は聖戦でございますだって? ヘ、笑わしやがらあ。そんな奴よりや、エスさまの方を俺あ信用するね。
男1 いいだろう。それで、君は、ぜんたい何だよ?
男3 俺あスリだよ。闇屋だ。闇屋でスリで、ゴロツキだ。
男1 だから、この戦争をどう思っているんだね?
男3 戦争は戦争だあね。聖戦でも不聖戦でもありやしねえ。喧嘩だ。そんだけの話だ。あんまりリコウもんのする事じゃねえよ喧嘩なんて。しかし、これで、起きちまったもなあ、しかたがねえからこんで、やっつけるまでだ。
男1 同じじゃないか。だから此の戦争を戦い抜いて大東亜共栄圏を作り上げることは、日本の任務なんだから――
男3
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