なになっちまったけど……そうよ、みんな悪いんじゃないの。
北村 ……(なんにもいえないで、リクと明へと次ぎ次ぎに目をやっている)
俊子 ね? よくわかるの私には、それが。……北村さん、あなた、兄さんに会える?
北村 そりゃ、又、警察から呼び出しが来れば会えるだろうけど――
俊子 もしね、兄さんにお会いになったら、私の眼はこんなふうになったけど、ちっともヒカンしてはいないといってね。いぜんは、お兄さんを、うらんでいたけど、眠がつぶれてから、兄さんの事が私、わかるようになったの。もしかすると、私もヤソ教になるかもしないわ。
北村 え? ヤソ教に?
俊子 ええ。……いえ、まだよく、わかんないけど、もしかすると、友兄さんのいう事が、いちばんホントじゃないかという気がする時があるの。……(不意にギクンとして、半身を起す)あ! あの――!
北村 (びっくりして)どうしたんだよ? どう――
俊子 お父さん、どこへ行ったの? え? お父さんどこへ行ったの?
北村 おじさんは、この上へ、あの――
俊子 ちがう! あぶない! 北村さん、早く。あの早く、お父さんをさがして!(ヨロヨロと立ちあがっている)
北
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