のか? 君の兄弟姉妹が、今どんなに苦んで――妹なども君の事については、とても、とても、苦しんで、心配して、――どうして君はこんなにわかってくれないんだ? 神さまは、そんなに君をかたくなな人間に――
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(そこへ、わりに近くで、ウーッとサイレンが鳴りひびいて来る。一同ちょっとハッとする)
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黒川 ……(しばらく、聞きすましていてから)来たな!
宗定 警戒警報だろう? だいじょぶだよ。
今井 いゃあ、たしか、昼前の警報がまだ解除になっていなかったから――ああ、やっぱり、空襲警報ですよ!
黒川 ……(構内のどこかで、ラジオが鳴っている。それに耳をかたむけていたが、よく聞きとれないので)うむ。どれどれ――(ソソクサと出て行く)
今井 (宗定に)やっぱり、そうのようです。待避なさったら?
宗定 そうさねえ。……(友吉や義一や人見を見まわしていたが)うん。……
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(急に小走りに室を出て行く。今井は、友吉や他の者たちをどうしようと思って、ちょっとためらっていたが、警報がやつぎばやに聞えて来るので、あわてて、三人をそのままにして走り出し
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