ヒ! チキショウ! ハッハハハ!(とめどなく笑う。黒川も今井も釣られて笑い出す。最後に人見までが、歪んだ顔で笑い出している。義一だけが恐怖のまじった、いぶかしそうな顔で一同を見まわしている。友吉はただいぶかしそうな眼で皆を見る)
今井 ワッハハこれですからねえ! 話にゃならんです、ハハハ、ヒヒヒ!
宗定 ……(ピタリと笑い止んで、まだ笑っている今井の方を見ていたが、又ニヤニヤしはじめそうになって来る自分に腹を立て、スッと立って今井の方へ行き)……なにが、おかしいんだ、君あ? ――(イキナリ、猛烈ないきおいで、今井の頬をピシリッと打つ。今井が、いっぺんに笑いを引っこめて、不動の姿勢をとる。他の一同もシーンとなってしまう。……宗定、サッサとイスにもどって来て低い声で)じょうだんじゃないぞ。……なあおい?(友吉を見る。すると又、笑えて来る)フフ!
友吉 はい。……(スナオにコックリをしてから、衰弱した青白い顔で花が開くようにニコッとほおえむ)
宗定 ……(その微笑を見ているうちに、なにかギクッと顔色を変える。人見は、宗定と友吉をかわるがわる見ながら、膝の上の両手を腹のところでシッカリと組み合
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