ない、現にお前は愛しているのか?
友吉 ……(まだ人見を見ながら)はい。……そうです。あの、なんじの敵を愛せよと、あの――
宗定 われわれの兄弟や姉妹や、罪のない子供までバタバタ殺している敵だぞ?
友吉 (青くなって下を向いた人見から視線をそらされてしまって、しかたなく宗定を見て)はい。でも……日本人も、向うの人を殺したりしているんですから――あの、ですから、どっちが悪いとかではなくて――戦争は、いけないんです。人が殺し合う、あの、戦争は、やめなければ、いけないのです。まちがっています。おそろしいです。みんな、こんな事をしていると、サバキの日に、地獄に落ちます。……予言してあります。……みんな、そんな事は、やめて祈らなくては、なりません。祈って、あのたがいに許し合って――
宗定 ……(聞いているうちに、怒りが心頭に発して来て、まっさおになってイスから立ちあがっている)おそろしい……地獄……じ、じ、じ――(と口うつしに無意識にいっている間にワーッと叫びかけるが、その激怒頂点で、耐えきれないほどおかしくなって)ヒ! ヘヘヘ! たがいに、許し……フフ、アッハハハ、ハッハハ、ヒヒ! ハハハ、ヒ
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