んだ。……そいでまあ、要するにだよ、まずい事にならんようにだなあ、ここいらで、本気になって君も考えてくれんといかんだろう? 今日は、まあ、これが最後だ。――この、最後的に、この男や君のりょうけんを聞きたいと思って来たわけだ。そいで――
黒川 わしらも、実にもう、やりきれなくなって来たからねえ。もう半年以上にも、なるんだから。これ以上、留置場や保護室を、こんな男でふさげて置くわけにもいかん。(その間に、今井はバケツを持って友吉のそばに寄って、水で友吉の顔を撫でていたが、いつまでもグッタリしているので、この時、バケツの水を友吉の頭にザッと叩きかける)
友吉 ……(ピクンとして、顔をあげて、視線のきまらない眼で遠くを見て低くいう)た、助けて、ください……
宗定 どうしたい?……(立って[#「立って」は底本では「立つて」]椅子をそっちへ持って行く)
友吉 ……(弱り果てた、しかし、すこしもインウツではない、たとえば自分を苦しめている熱病のコンスイから眼をさました子供のように、すこしキョトンとしてそのへんを見まわす)
黒川 どうだね?え?
義一 ……(黒川の足もとでムックリ起きあがっている。この
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