がって、俺がいっしょけんめいやってる仕事にケチをつけてオシャカにしゃがるんだ! そうしといて、おおぜいで俺をナブリものにしゃあがって、ちきしょう[#「ちきしょう」は底本では「ちきしよう」]!
北村 いいよ、いいよ、いいんだよ! そんな気を立てないで――
治子 ……(うすくらがりへ向って)明さんじゃなくって? 明さん!(明と北村がこっちを[#「こっちを」は底本では「こつちを」]見る)
治子 ……どうなすって?
明 ……治子さん。……(その辺を見まわす)なんだ、ここは仕上部か。……(こっちへ[#「こっちへ」は底本では「こつちへ」]歩いて来かけて、ヨロヨロとなる。北村がそれをささえ助けて、二人が、光の輪の中へ入る。そのギラギラした光に照らし出された明の作業服がズタズタに裂け、右のコメカミの所にベットリと血)
治子 ……(ギョッとして中腰になる)……どうなすったの、その――?
明 ……うん。フ!(つとめて笑おうとしながら、コメカミに左手を持って行く。その左手が、また赤い)
静代 まあ! ……(これも立ちあがる)
北村 みんなと、やりあってね。やっと[#「やっと」は底本では「やつと」]、とめて―
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