て――もと広島の中学でしばらく私が教えてあげて、――御両親が向うにいられて、こんどやって来られた方で――
木山 (竜子に手つだって、西洋皿にカンヅメの中味をあけていたのが此方を向いて) こんばんは。
友吉 ……(木山に頭をさげる)
竜子 (デセールをもった皿を奥のテーブルの上に置き)どうぞ先生。小笠原さんも。すぐお茶を入れますから。(奥へ去る)
人見 (それにエシャクして置いて、友吉に)今夜は忙しいものだから――
友吉 ……(急にさびしそうな顔になる)はい。僕はすぐ、なんです、失礼しますから。……(すこし離れた奥では木山が二つ三つのイスをテーブルのわきに持って行き、小笠原を招じて掛けさせ、自分が先ず皿のデセールを一つ取って食べて見せ、小笠原にすすめている)……治子さんの事で、チョットあの――
人見 治子? ……なんでしょう[#「なんでしょう」は底本では「なんでしよう」]?
友吉 心配になったもんですから――もっと早く来よう来ようと思っていたんですけど、ツイ――ぼく、この頃、時計の仕事がタマにしかないもんで、昼間、あの、クズ屋みたいな事をしているもんですから――暇がなくて――
人見 いや
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