後の奥を二度三度と振返りながら。木山それにぶっつかりそうになって)……おお、しつれい!(笑いながら、竜子の身体をかかえ止めるようにする)ああ、開けること出来ましたね。ハハ。――どうか、なさいました?(笑いを引っこめる。竜子が尚も奥を振返る顔が青く、手に持った西洋皿が、カチカチとカンヅメのかどに音を立てる)
人見 どうしました、竜子さん?
竜子 はあ、あの――いえ、私の気のセイかも――(皿とカンヅメをテーブルの上に置いて、又奥を振返る)
小笠原 なにか――?
竜子 ……ヒョッと、あの、流しのそばの窓を見たら、誰かこっちを向いて笑って――
小笠原 え? ソトから? 
竜子 はあ。 ――たような気がしたんです。
人見 ……コジキでしょう[#「コジキでしょう」は底本では「コジキでしよう」]、それは。ちかごろ、よくこのへんをウロウロしますから。
小笠原 でしょうか[#「でしょうか」は底本では「でしようか」]? こんな雪のふる晩に、それでも。――
木山 ぼく、見てきましょう[#「見てきましょう」は底本では「見てきましよう」]。こちらですね?(スタスタ奥へ。それを案内するように竜子が後からついて行く
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