礼。
友吉 貴島さん、あの先日の時計は、まだこうしてもうチョットあの――
貴島 ああ、いいですよ。いつまでもいいんだ。どうです、俊ちゃん、その後、眼の方は?(俊子が返事をするのも待たずに治子に向って)いえね、私あ、この少しばかり古物を扱っている貴島宗太郎と申しましてね、ヘヘ、ケチな男です。どうぞよろしく。なにね、片倉さんを好きで――いえ、好きといっちゃなんですがね、この、いえ、戦争中、ケイサツでいっしょに、この、ヘヘ、いろいろお世話になりましてね、なんしろあなた、いまどき、変った人だ。ハハ、だんだん見ていると、とんでもねえ、エレエというのかバカというのか、ヘヘヘ、まあ、神さまみてえな――つまるところが、エスさまあでさあ。おどろいたねえ。おどろきました! そいからまあ信者になったのです。信者といったって私あ、ヤソなんかの事あ、わからんですよ。ヤソだろうとクソだろうと、見さかいのない野郎でさあ、だから信者といっても、神さまの事じゃ、ごいせん。つまり片倉友吉さまでさあ。いや、まったく。片倉友吉さまの信者でさあ。ヘヘヘ、そいでまあ。(いいながら、ふところから、懐中時計を二つばかりと腕時計を一つ
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