から見れば、みんな神さまのものです。――主の祈りをとなえながら、その拍子に合せてキカン銃を打っていたヘイタイが居た――こないだ本で読んだんですよ。それだって神の世界の出来ごとかもしれない。神さまの世界の広さや深さを、われわれ弱い小さい者が、自分の量見で区切ってタカをククル――というのもへんだけど――てはいけない。そんな気がして来たんです。まして、あなたの兄さんなど、あんな立派な人格の――
治子 そいじゃ、そいじゃ戦争中の友吉さんが、神さまを守って、あんだけイジメられても、なにしていらしったのは、なあに?
友吉 ……あれは、僕の、思いあがった、まちがいだった――かも知れないという気が、ちかごろ、して来たんです。
治子 イヤだ! イヤだ! イヤだ! (ほとんど叫ぶ)そんなの、イヤです! いまさら、そんな、友吉さん、あなたまでが――イヤだ! ……(しばらく黙った後、再び沈んだ、過度に冷静な調子で)――あたしは、神さまを見失った人間なの。しかし友吉さんまでが、そんな事をいっては、いけない。しっかりしてちょうだい。……私が神を失ったのは、戦争中の兄さん、終戦後の兄さん、その兄さんを見ていてなの。
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