私は、兄さんから、神さまを与えられた人間よ。そして、こんだ、兄さんから神を取り上げられたの。……そうじゃありませんか。……戦争中、兄さんは疑いだした。苦しんでいたわ。私も苦しかった。しかし、その頃は、まだよかったわ。けっきょくは、ホントは、ホントの心の底では信じていたわ。……その兄さんが、終戦後、又教会はじめて、以前の通り集会なんかもチャンと開いて、――そりゃ、いろんなメンドウな教義やリクツやいいまわし方でね――とても熱心だわ。それ見てて、どうしてだか、私、こんだホントに信じられなくなったの。まるきり、メチャメチャになった。……神さまなんて、まるで、出たとこ勝負の、イジの悪い、人にイジの悪い事ばかりして自分だけニヤニヤ笑っているような、ヘリクツこねの――そういう気がするの。……どうしてだか、わからない。すくなくとも、新約の神は、私から、なくなってしまったわ。悪魔が私にとりついたのかも知れないわね。フフ。どうでもいいわ。……そしたら、急に、私、自分も人間だっていう事に気が附いた。一人の女だって事に気がついたの。女よ。……私たちは私たちを愛しているのよ。食べて、生きて、愛しているのよ。食べ
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