―(だまってしまう)
北村 ……(その友吉の姿を、つらそうな眼をして、ボンヤリ見つめている)
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(そこへ、右手の小道の方から、人見治子が近づいて来る。みすぼらしいコートに、モンペ式の黒いズボン。以前は少女らしくフックリしていた線は彼女の顔からソギ落ちてしまって、鋭どくフケこんで、無口に無表情になっている。今日はともいわないで、あがりばなに立ち、突伏している友吉と北村と奥に寝ているリクをチラチラと見てから、北村に黙礼する)
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北村 ……や、今日は。……どうです?
治子 はあ。……(相手になろうとせず、ゲタをぬいであがり、眠っているリクの方へ行く)
北村 その、事務員の方の仕事は、うまく行っていますか?
治子 ええ。(いいながら、リクの額にソッと手を当ててみたりする。その態度に取りつきばがない)
北村 ……じゃ。(と腰をあげて)じゃ、又来るからね、友ちゃん。(友吉は、まだジッと祈っているようなかっこうをしている)……あんまり、考え込まないで――こんだ、仕事が有ったら、持って来るから。……(治子に)治子さん、じゃ――(右手へ去って行く)
治子 …
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