もらい、併せて今後の見通しと、われわれの持たなければならぬ決意について話して貰います!(一同のさかんな拍手)
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(その拍手の中に、ションボリして[#「ションボリして」は底本では「シヨンボリして」]イスのそばから立ち去って行きかけた友吉が、ちょっと立ちどまって、一同の方を、いぶかしそうな、そして悲しそうな眼つきで見まわしている顔。その友吉を、細田がジッと見まもっている)
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 壕舎。
 6と同じ。ひるごろ。6で義一が仕事をしていた石油箱に向って、友吉が時計の修理をしている。左手の白由がきかないので、あまりうまく行かないようである。6で俊子の寝ていたところには母のリクが寝ている。一家の窮迫の状は6の時よりひどくなっている事が一見してわかる。6にも出た北村が、あがりばなに掛けて、持って来た二三の品物をポケットから出してユカの上に置きならべている。
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北村 これはヒゲだ。もっといろんな種類のをそろえてと思ったけど――又手に入ったら持って来るよ。これは心棒。……心棒なども材料が悪
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