ら――諸君を裏切ろうという気持なんか、僕には、ミジンもないんだ。
司会 そうだろう、そうだと思う。君にそんな気持がない事は信ずるよ。しかしだなあ、会社としてはこの際組合の人間を首切ってしまって、ウンと人数をへらして、代りに会社のいうなりになる人間だけを入れてやって行きたいと思っているんだからね――それに君は組立ての方では腕が良かったんだし、この際、会社では君のような人間をほしいんだ。だから、君が入社すれば、君自身われわれを裏切ろうという気はなくても、結果としてはだな、ぼくらを裏切ることになるんだよ。だから――
友吉 そいじゃ、僕は入社しなくても――いえ、入社しません。そんな僕は――でも、しかし、僕は思うんです。ストライキなど、しないで、もっとこの両方で話し合って、やって行くようにです。――できないでしょうか? いえ、僕には、めんどうな理屈はわかりませんけれど、こんなふうになって、日本はメチャメチャになってしまって、すべての事が乞食と同じような事になってしまったんですから、この、以前のように資本家だから、労働者だからということで対立して、あらそって見ても、事実、資本家の方も苦しくて成り立
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