、三の笑声)
声二 進行々々!
司会 (困って、それらの声をもみ消すように)いや、それは、それとして――つまり、問題は、そんな事じゃなくなって、つまり、われわれ勤労者が今後のことをやって行くについてだな、正しく平和的にわれわれの生活と生産を守って行くについての、この、参考にするために片倉君の意見というものを聞きたいので――ねえ片倉君!
友吉 え?(あちこちからの[#「あちこちからの」は底本では「あらこちからの」]声のためにキョトキョトと混乱して)はあ、あの、たしかに、あの、働らく人間が安心して働いて行けるようにならないと、たしかに、ホントの平和は来ないと思うんです。ですから――
司会 だからね、今ねえ、この会社では、つまり、君も知っているように、この会社では軍の仕事をして非常にもうけて来たんだ。で終戦になってから、又もとの時計の製造に切りかえたんだが、資材はなし、うまく行かないので、ドンドン人員整理――つまり首きりをはじめてるんだよ。戦争中にもうけた利益は、いち早く、ほかへ持って行ってしまったり、首脳部の方でかくしこんでしまってだな、どうしても経営が苦しくなったからと――会社の言草は、
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