んといわれるままに、なかには本気になっていた者も居るんだから、なんだ、君に対して、君を、つまりハクガイしたりした者も居ただろうけど――いや、ほとんどみんな、そうだったかも知れんけれど、それは支配階級からゴマかされてホントの事を見ることが出来なかったからの事で――しかし今はもうわれわれは解放されて自由になったんだから――だから、みんな、あの時は、君に対してすまない事をしたと思っているんだと思うから、それで、まあ、こうして君を迎えて話を聞きたいというのも、つまり、そういう気持のあらわれ――
友吉 いえ、とんでもない、すまないのは僕なんです。(司会者の言葉を全く正反対に取りちがえてあわてている)僕ですよ。あの、最後にケンペイに連れて行かれる時だって、運動場でみんなから、ぶたれたり、けられたりして……みんなの中にはくやしがって泣きながら僕をけってる人もおります……されながら、僕は、ホントにつらかったです。昨日まで仲よくいっしょに働らいていた人たちから、自分だけが人とちがった事を考えているために、こんなに怒られている。そう思うと、よっぽど、あんときに、エスさまを捨ててしまおうかしらんと考えたりし
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