リとたれている。一同拍手)……どうも、ぼくは、あの、チョット[#「チョット」は底本では「チヨット」]用事があって、来ましたら、人事課の表の所で、杉田さんに――(と司会者の方を見て)会って、無理に、あの、此処へつれて来られて[#「来られて」は底本では「来たられて」]しまって……(困りきった微笑。それを見ていて一同の間にも気の良い微笑のさざめき。一、二の人が、まばらに拍手する)……ぼくなんぞ、べつに話すことも有りませんから――
司会 いいじゃないか、なんでも思いついたままの事をいってくれよ。
友吉 ……弱ったなあ。
司会 弱るこたあないじゃないか。君がナカでがんばって居たじぶんの感想でも話してくれたまいな。
友吉 ……がんばって居たなんて、そんな――ぼくが悪いんですから、あの――
司会 悪い?
友吉 みんなにメイワクをかけて、父や弟や、そいからいろんな人たちを、苦しめることになって……会社の皆さんにもホントに(と会衆に向って詫びの頭をさげる)――ぼくのような者が一人出たために、ずいぶん、ごめいわくをかけちまって――ホントに、すみませんでした。……でも、しかたがなかったもんですから――
司会
前へ
次へ
全180ページ中109ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング