残念ながら……諸君をしぼり取ろうとしている人は、まだ居りますがね。……(客席から「そうだ!」「そうだ!」と二声ばかり叫ぶ声がして、同時に全員が昂奮した烈しい拍手をする)……(気持よく笑って)ハハ、いや、まあ、なんですよ、しぼり取れる時にはサンザンにしぼり取って、そいで、こんな時代になって、あんまりもうからなくなったので、人手をへらす必要があるというんで、諸君をお払い箱にしたいという人たちは、居ります。……そいつは、あんまりきこえないというわけで、やむを得ず諸君も今度立ち上って、首は切らないでくれと、まあ言いはじめたわけですね?(拍手)……あたりまえなんですよ、諸君がそう思うのは。だから、つまり、諸君が働いてもうけだしたものを、諸君がみんなで分けてやって行けるようになれば、なんのゴタゴタも起きないわけです。同時に、そんなような諸君がいっぱい集って、自分たちの手で自分たちの間から選び出した人に政治をやってもらうようにすればゴタゴタは起きないのです。つまり、戦争は起きないんだ。……つまりですよ、本来、労働者、勤労階級、農民などはまったく平和的なんです。ですから、諸君が、自分たちの手で、自分た
前へ
次へ
全180ページ中105ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング