出張して寒月《かんげつ》君と芸者をあげました。芸者がすきになるにはよほど修業が入る。能よりもむずかしい。今後の文章会はひまがあれば行く。もし草稿が出来んようなら御免を蒙る。以上頓首。(三八、一二、三)
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   十二月三日[#地から3字上げ]金
     虚子先生
      ○
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 時間がないので已《やむ》を得ず今日学校をやすんで『帝文』の方をかきあげました。これは六十四枚ばかり。実はもっとかかんといけないが時が出ないからあとを省略しました。それで頭のかった変物が出来ました。明年御批評を願います。「猫」は明日から奮発してかくんですがこうなると苦しくなりますよ。だれか代作が頼みたい位だ。然し十七、八日までにはあげます。君と活版屋に口をあけさしては済まない。(三八、一二、一一)
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[#地から3字上げ]夏目金之助
     高浜清様
      ○
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 啓 先刻の人の話では御嬢さんが肺炎で病院へつめきりだそうですね。少しは宜《い》いですか。大事になさい。僕の家《うち》バカンボ誕生やはり女です。妻君発熱
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