あ》きたようだから自分に構わず開いて頂戴。「猫」は出来れば此方から上げます。一体文章は朗読するより黙読するものですね。僕は人のよむのを聞いていては到底是非の判断が下しにくい。いずれ僕のうちでも妻君がバカンボーを腹から出したら一大談話会を開いて諸賢を御招待して遊ぶ積りに候。頓首。
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十一月二十四日[#地から3字上げ]金
虚子先生
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僕は当分のうち創作を本領として大《おおい》にかく積りだが少々いやになった。然し外《ほか》に自己を発揮する余地もないからやはり雑誌の御厄介になる事に仕った。この度の「猫」は色々かく事がある。その内で苦沙弥《くしゃみ》君の裏の中学校の生徒が騒いで乱暴する所をかいて御覧に入ます。(三八、一一、二四)
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○
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拝復 十四日にしめ切ると仰せあるが十四日には六ずかしいですよ。十七日が日曜だから十七、八日にはなりましょう。そう急いでも詩の神が承知しませんからね[#「詩の神が承知しませんからね」に傍点](この一句詩人調)。とにかく出来ないですよ。今日から『
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