い。僕は人の攻撃をいくらでもきくが、大概採用しない事にしました。その代りほめた所は何でも採用するという憲法です。
 何だかムズムズしていけません。学校なんどへ出るのが惜しくってたまらない。やりたい事が多くて困る。僕は十年計画で敵を斃《たお》す積りだったが近来これほど短気な事はないと思って百年計画にあらためました。百年計画なら大丈夫誰が出て来ても負けません。木曜に入らっしゃい。ハムは大好物だから大に喜んで食います。二十日までにかきます。
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   十一月十一日[#地から3字上げ]夏目金之助
     虚子先生
      ○
明治三十九年十一月十七日(封書)
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 もうやめます。陳列すると際限がない。仕舞へ行くほどゾンザイになる。一、二分に一句位宛出来る。このうちでもっとも上等の奴を二つばかりとって頂戴。
 あしたは明治大学がやすみになって嬉しいから、御降《おさが》りをちょっと作りました。
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   十六日夜[#地から3字上げ]金
     虚子先生
      ○
明治三十九年十一月二十四日(封書)
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