食っている。シャボテン党はこの味を知らないからシャボテン派なんだろうというています。今日も三人来ました。然し玄関の張札を見て早々帰ります。甚だ結構です。以上。
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十月十二日[#地から3字上げ]金生
虚子先生
○
明治三十九年十月十五日(封書)
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喜多の番組難有候。ちょっとこの文壇五名家という奴を御覧なさい。僕の鼻が曲っているから妙だ。鼻の穴の片ッ方が余計に見えている。これで文学者もすさまじいものだ。然し他の四名家も文学者らしくもありませんね。中には泥棒のようなものもいる。草々。
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十月十五日[#地から3字上げ]金
高浜先生
○
明治三十九年十月十七日(封書)
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拝啓 喜多の番づけを難有う存じます。早速モリスにやりましょう。先達て御話しのあった「二百十日」に関する拙翰を『ホトトギス』へ掲載の義は承知致しましたと申しましたが少し見合せて下さい。近々「現代の青年に告ぐ」という文章をかくかまたはその主意を小説にしたいと思います。するとその前にあの手紙は出してもらわない方がよい。どうでしょう、あの主意をあなたが布衍《ふえん》して、そうしてあなたの意見も加えてあなたの文章とかきかえて『ホトトギス』へ出して下さっては。あの手紙のうちで困るのは「現代の青年はカラ駄目だ」という事と「普通の小説家なら……」という自讃的の語である。自分が小説をかいて、人の小説を自分のに比べて攻撃するのはいやな心持ちだ、それから「現代の青年に告ぐ」という文章中には大に青年を奮発させる事を書くのだから「カラ駄目」じゃちと矛盾してしまいます。まず用事だけにして置きます。
森田流の人には当分シャボテン主義は分りません。やはりロシヤ主義で進歩するがよかろうと思います。
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十六日[#地から3字上げ]金
高浜様
○
明治三十九年十月十八日(封書)
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拝啓手紙は『国民新聞』へ御出しのよし。ちっとも構いません。出したら出したで小説でも論文でも出来ますから、決して御心配には及びません。本当は現代の青年の一部のものにあの手紙を見せてやりたいのですから大に結構であります。今日|松根《まつね》が来ました
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