》は題も二つにしてよほど材料を少くする御覚悟と見つれども、それならば祝詞の代りになるべき文章か俳句かをしっかり集める用意なかるべからず。碧、虚、飄亭はじめそれぞれ貴兄よりきびしく御請求あるべく候。鳴雪翁と僕とは黙っていても送る。
 また募集句も今度は一号の半分もあるまじと存候。それは題が少きと題がわるきとに基因いたし候。その覚悟にて他の材料御あつめ可被成候。
 鳴雪翁曰く校正行届きたること感心也。
 先月鳴雪翁小家に来られ曰く、『ほととぎす』今日壱部来れり。猶諸方へ得意をつけんと思う故二部三部でもほしければ取りに来りたりと。小生方にも一部より参らずと申候えば、御失望の様子なりき。万一飄亭方へでもと存じ聞合候処同人へも一部しか来らずと。さては貴兄もぬかり給えり。とにかく初号也。残りあらば何部にてもよこしたまえ。鳴雪翁は少くも五、六部はほしといわれたり。(これは久松《ひさまつ》家及び諸俳人に贈るため)とにかく『ほととぎす』発行に就きては鳴雪翁一番大得意也。翁は一号を見てうれしくてたまらねば即日小家へも来られたるわけ也。
 正直に申せば小生鳴雪翁ほどには得意ならず。一号を見た時はじめはうれし
前へ 次へ
全108ページ中78ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
高浜 虚子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング