子規居士と余
高浜虚子

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)遣《や》って

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)夕|其処《そこ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「王+二点しんにょうの進」、第4水準2−81−2]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)しば/\
−−

    一

 松山城の北に練兵場がある。ある夏の夕|其処《そこ》へ行って当時中学生であった余らがバッチングを遣っていると、其処へぞろぞろと東京がえりの四、六人の書生が遣《や》って来た。余らも裾《すそ》を短くし腰に手拭《てぬぐい》をはさんで一ぱし書生さんの積《つも》りでいたのであったが、その人々は本場仕込みのツンツルテンで脛《すね》の露出し具合もいなせなり腰にはさんだ手拭も赤い色のにじんだタオルなどであることがまず人目を欹《そばだ》たしめるのであった。
「おいちょっとお借しの。」とそのうちで殊《こと》に脹脛《ふくらはぎ》の露出したの
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