のみを残せば猶《なお》宜し。
 第三蕪村の句を入れるもよろしけれど一句|毎《ごと》に蕪村の名あるはうるさし。蕪村とはじめにあればそれにて十分也。(これは飄亭より注意)
 第四飄亭曰く、募集句は鳴雪子規代る代る(一月おき)見ることにしては如何と。愚考にては前にも申上候通り募集句を二分して違う部分を見ても宜しと存候。飄亭説にてもまたたまたまには一処に同じものを評するも面白しと存候。これはしかし売行にも関することと存候|故《ゆえ》貴兄も御考可被成また広く一般趨向をも御聞可被下《おききくださるべく》候。
 またある時は草稿を三分四分して碧虚なども一部分を見るもよろしからん。
 第五募集題鶯、春風とはわるし。春風は昨年も『海南新聞』にて募集したるもの故よろしからず。同じ題が出ては前の募集句を見ておかねば剽窃《ひょうせつ》の煩いあり、また同じ題ばかりでは投書家の詩想広くならぬ憂あり。
 また壱号の題に千鳥、時雨という動物天文ありて今度もまた鳥類と天文とはよほど素人くさき題の出し方也。貴兄にも似合ぬと存候。小生の我儘《わがまま》を申さば一応小生に御打合せ被下まじくや。
  ○以上欠点
 此度《こんど
前へ 次へ
全108ページ中77ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
高浜 虚子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング